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美容室の法人化の割合は?メリット・デメリット、適切なタイミング・手続きも解説

美容室を個人事業主として経営してきた中で、「そろそろ法人化したほうが良いのだろうか」と考え始めたオーナーも多いのではないでしょうか。

 法人化を成功させるには、適切なタイミングを見極めることと、具体的な手続きの流れを事前に把握しておくことが大切です。

今回は、美容室の法人化のメリット・デメリットから検討すべきタイミング、手続きの流れまでわかりやすく解説します。

美容室における法人化の割合

美容室を法人化している割合経済産業省の「経済センサス」調査結果によると、美容業が含まれる「生活関連サービス業,娯楽業」の経営形態は個人経営が79.8%を占めており、法人経営は20.2%にとどまっています。

美容室の多くは個人事業主として開業するケースが主流であり、法人化は一定の規模・利益水準に達した段階で検討するオーナーが多い傾向にあります。

出典:経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査 調査の結果

美容室が法人化するメリット

美容室を法人化するメリット法人化によって得られる主なメリットは4つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

節税効果がある

法人化するメリットの一つが節税効果です。

個人事業主の所得税は累進課税で最大45%に達しますが、法人税の基本税率は最大23.2%(中小法人の所得800万円以下の部分は15%)にとどまります。

所得が高くなるほど個人事業主のまま経営を続けることによる税負担は重くなり、法人化することで税率の差が大きな節税につながります。

また、法人は一定の要件を満たした役員報酬を損金算入できるため、所得を法人と個人に分散し、税負担の軽減を図れる場合があります。

さらに、家族を役員として雇用した場合の給与も経費計上でき、役員退職金の損金計上や生命保険料控除の拡大といった追加の節税策も活用できます。

事業拡大がしやすくなる

法人は商号・役員名などを法務局に登記するため公的に存在を証明でき、個人事業主と比べて社会的信用を得やすくなります。

信用力の高まりにより金融機関からの融資を受けやすくなるほか、融資限度額が大きくなるメリットがあります。

多店舗展開や設備投資を計画する際も、法人格があることでスムーズな資金調達につながりやすく、事業の成長スピードを加速させられます。

採用力・社会的信用が高まる

法人化することで求職者が集まりやすくなります。

就職・転職を検討する求職者にとって、法人が運営する美容室は個人経営と比べて信頼性が高く映るため、応募数の増加が期待できます。

社会保険への加入によって求人面での強みが生まれるほか、顧客・取引先からも「公的に実在が確認できる存在」として認識されるため、全方位で信頼性の向上につながります。

欠損金(赤字)の繰越期間が延長される

個人事業主(青色申告)の場合、赤字の繰越控除は最長3年、特定災害損失(令和5年4月1日以降に指定された災害で、一定の要件を満たす場合)は5年に限られています。

一方、青色申告法人であれば欠損金を最大10年にわたって翌事業年度以降の所得から繰越控除(損金算入)することが可能です。

設備投資が重なるなど一時的に赤字になった場合でも税負担を軽減でき、中長期の設備投資計画を立てやすくなります。

美容室の法人化のデメリット・注意点

美容室を法人化するデメリット法人化にはメリットだけでなく、考慮すべきデメリットも存在します。

以下の5点を事前に理解しておきましょう。

法人設立・廃業に費用と手間がかかる

法人を設立する際には、公証人役場での認証取得・印鑑作成・法務局への登録費用など複数の出費が重なります。

株式会社を設立する場合、定款認証費用や登録免許税などの法定費用を合わせると、およそ20〜25万円の初期費用が必要です(紙定款で自己設立するケース。電子定款利用や資本金額によって異なります)。

廃業時にも法的手続きと税務申告が必要で、司法書士・税理士への依頼費用が発生するなど、個人事業主に比べて大きな手間とコストが伴います。

赤字でも法人住民税の支払いが発生する

法人は個人事業主と異なり、赤字であっても法人住民税の均等割は支払い義務があります。

均等割は年間7万円程度(標準税率の場合)を最低額として、規模や拠点数に応じて増加するため、利益が少ない段階では特に固定的なコストとして重くのしかかります。

法人住民税は「法人税割」と「均等割」で構成されており、均等割の金額は資本金等の額と従業員数によって決まります。

社会保険料の負担が増加する

法人の場合、社会保険の加入は義務であり、経営者個人も含めて加入対象となります。

従業員の数に比例して社会保険料の負担も大きくなるため、スタッフを複数抱える美容室では特に注意が必要です。

法人化すると社長自身も社会保険へ加入することになり、法人負担分の保険料が新たな固定コストとして毎月発生します。

会計・事務作業の負担が増える

法人化すると、個人事業主よりも厳格な会計処理や決算書の作成が求められるようになります。

税務申告先が税務署・都道府県税事務所・市区町村の3か所にわたり、申告作業も複雑化します。

法人の決算書は個人では作成が困難なため、顧問税理士への依頼が事実上必要となり、顧問料が固定費として継続的に発生します。

法人化のメリットが出るまでには一定規模が必要

年間利益が一定水準を超えると法人化の節税メリットが社会保険料・税理士費用などの固定コストを上回るとされています。

ただし、その分岐点は役員報酬の設定や事業形態によって異なるため、税理士に個別相談すると良いでしょう。

美容室が法人化を検討すべきタイミング

法人化のメリット・デメリットを踏まえた上で、具体的にどのようなタイミングで検討すべきかを確認しましょう。

売上高が1,000万円を超えたタイミング

課税売上高が1,000万円を超えると翌々年度から消費税の課税事業者となるため、このタイミングで法人化を検討するオーナーが多いです。

なお、インボイス登録済み事業者は売上額にかかわらず課税事業者となります。

所得(利益)が800万円を超えたタイミング

年収(利益・所得)が800万円を超えるタイミングが、法人化による節税効果が生じやすくなる目安とされています(個別の状況によって異なります)。

個人事業主の所得税は超過累進課税で最大45%の税率になるのに対し、法人税の最大税率は23.2%(中小法人は課税所得800万円以下の部分はさらに低税率)であり、所得が高額になるほど法人化のメリットが大きくなります。

多店舗展開・事業拡大を計画しているタイミング

多店舗経営を展開するには新たな店舗への投資が必要であり、法人化することで個人事業主と比べて社会的信用を得やすく、融資をスムーズに受けやすくなります。

法人であれば信用度が高まり、好条件の物件を確保しやすくなるほか、銀行や公的機関からの融資も受けやすくなるため、設備投資・内装リニューアル・スタッフ増員などの資金計画が立てやすくなります。


経営の安定化を図りながら事業を拡大していく上で、法人格の取得は大きな後ろ盾となります。

採用・人材確保を強化したいタイミング

美容師を雇って運営していきたい場合、法人化することで社会保険に加入でき、求職者への訴求力が高まります。

法人であることは求職者にとっての安心材料の一つであり、社会保険の整備や働く環境の透明性が向上することで、スタッフの満足度と定着率が高まります。

 法人は個人と比べて人が集まりやすいため、採用活動においても大きなメリットをもたらします。

設備投資・店舗移転で融資が必要になったタイミング

設備投資や店舗移転で資金が必要になるタイミングも、法人化を検討する時期と言えます。

法人は会社の名称や役員名などを登記することで公的機関に存在を証明でき、個人事業主よりも信用されやすく、融資を受けられる金額が多額になりやすい傾向があります。

また、設備投資などにより赤字が続く場合も、青色申告を提出する法人であれば欠損金を最大10年にわたって繰越控除でき、個人(最大3年)と比べて有利な条件で資金計画を組めます。

美容室を法人化する手続きの流れ

実際に法人化を進める際には、以下のステップで手続きを行います。

  • ステップ1|会社の基本事項を決める 商号(会社名)・本店所在地・事業目的・資本金額・役員構成などを決定します
  • ステップ2|定款の作成・認証と資本金の払込 定款を作成し、公証人役場で認証を受けます。その後、発起人の銀行口座に資本金を払い込みます。
  • ステップ3|法人設立登記(法務局) 法務局へ設立登記申請を行います。登記が完了したら登記事項証明書を取得してください。
  • ステップ4|保健所への美容所開設届の提出 美容室を法人として営業するために、保健所へ美容所の開設届を提出します。
  • ステップ5|社会保険・労働保険の加入手続き 法人設立後は速やかに社会保険・労働保険の加入手続きを行います。
  • ステップ6|個人事業の廃業手続きと資産の引き継ぎ 個人事業主として行っていた事業の廃業届を税務署に提出し、個人から法人への資産引き継ぎを完了させます。

まとめ

法人化すると決算や税務申告など、個人事業主時代とは比べものにならないほど厳格で複雑な事務作業にオーナーの手が取られるようになります。

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